虚空の檻
とある企業のパーティで知り合った彼との初デートの日。
高層ビルの最上階にある彼の行きつけだというレストランでヌーベル・キュイジーヌを初めて頂き、その独創性ある創作料理の数々を楽しむと共に、一緒に頂いたブルゴーニュ産のワインで、すっかりほろ酔い気分になってしまった私は、彼の誘いを受け、彼の自宅へとお邪魔しました。
そこは、30階はあろうかという大きなビルの屋上に作られたペントハウスで、地下駐車場から乗った専用エレベーターから降り立つと、目の前には緑豊かな庭園が広がっており、ともすれば、そこが都会の真ん中にある ビルの屋上であるという事を忘れてしまいそうになる空間に、ただビックリする私でした。
そんな私の手を取ると、彼は優しくエスコートして広い邸宅の中を案内してくれたのですが、その中で一つだけ妙に気になることが、私にはありました。
それは、庭先の芝生の上に置かれた真新しい大型犬用の檻でした。
つい今しがた用意されたかのように黒光りするその檻は、まだ使われた気配はなく、格子扉がぽっかりと口を大きく開けて存在感を主張していました。
気になった私は、星空の下、庭先のテーブルで酔い醒ましにと頂いたアールグレーのアイスティーを口にしながら、ちょっと質問してみました。
「大型犬でも飼っていらっしゃるのですか?」
「えぇ、これから飼おうかと思ってまして……」
私の質問に彼はニッコリと微笑むと、先ほどの檻の傍に置いてあった大きなボストンバックを手に取り、 私の前へと持ってきました。
「そうそう、貴女にプレゼントがあるのですよ」
そう言ってバッグのファスナーをゆっり開けると、彼は私の目の前にあるテーブルの上に中身をひとつひとつ並べ始めます。
「……?」
それらは奇妙なモノでした。黒い革で作られた革製品のようでしたが、幅広のベルトがたくさんついた袋状なモノなど、いったい何に使うのか私には皆目見当がつかないモノばかりでした。
「これは……えッ?」
でも、最後にテーブルの上に置かれた大型犬用の首輪を見て、ようやく私は背筋がゾクリっとするような嫌な感覚が走ったのです。
「こ、これはいったい……」
ビックリして立ち上がろうとする私でしたが、その時には既に気が付くのが遅すぎました。
急に足がガクガクと震えだしたかと思うと、身体の力が抜けてしまい、椅子から無様に崩れ落ちて芝生の上へと倒れこんでしまっていたのです。
「え……あへ……ち、力が……」
「おや、アルコールのお陰で、いつもより薬が回るのが早かったようだね」
「な……なんへ……」
口端から涎を垂れ流し、呂律の回らなくなってしまった私は、必死に首を回して、彼を見上げようとしました。
「もちろん、卑しい雌犬のキミを、これから相応しい姿にして飼ってあげるためさ」
必死に見上げた私の視線の先にいた彼は、その顔に先ほどまでと同じ優しい笑みを浮かべていたのだけど、その目は、まるで犬畜生でも見るかのような冷たい光を宿し、私を見下ろしていました。
「さて、雌犬である貴女には、もう服なんて必要ないモノだよね」
そう言うと、彼はおもむろに私の服を脱がし始めたのです。
薬の効果で麻痺し、抵抗できない私の身体からテキパキと服を脱がし始め、下着すらも剥ぎ取っていくと、彼は全裸に剥かれた私の身体に、先ほどの黒革の道具を次々と装着していきました。
「ひゃ……ひゃめ……へ……あがッ、うぐッ… …」
彼にとって、もはや私の言葉など動物の鳴き声程度にしか、思われてないのでしょう。
私の必死の叫びをまるで聴こえてないかのように無視すると、無理やり私の口の中に金属筒を押し込み、付属のベルトで次々と顔を締め付け固定していきます。
「おごぉッ!!」
それが終わると、今度が私の長い手足を各々折り畳み始め、黒革の袋を被せては付属のベルトてギチギチとキツク締め付けていき、しっかり固定してしまいました。
「いひゃ……」
必死に抗おうとする私でしたが、麻痺した身体は自由に動かず、抵抗も空しく私の自由は着実に奪われていきます。
そうして四肢の拘束を終えると、最後には私の首に大型犬用の首輪がキュッと巻きつけられてしまったのです。
「うん、よく似合ってるよ」
黒革の道具で拘束され、まるで動物のように肘と膝で四つん這いで立つ姿に強制的にされてしまった私。
彼はそんな私の姿を見下ろしニッコリと微笑むのですが、私の心は恐怖で押し潰されそうでした。
でも、彼は更にいくつもの南京錠を取り出すと、私の身体に取り付けられた黒革の道具をその南京錠で次々と施錠していくのでした。
――カキンッ――カキンッ……
澄んだ金属音が鳴り響く度に、私の中で完全に自由が奪われることに対する恐怖感が膨れ上がっていきます。
「ひッ、ひひゃーッ!! 」
そして、ついに恐怖で心を真っ黒に塗りつぶされた私は大声で助けを叫びました。
口に噛まされた金属筒の為に人の言葉にすらならない私の叫びが、確かに広い屋上に響き渡ったのです。
でも、ここは大きなビルの屋上。都会の真ん中で、ビルの足元には大勢の人が行き交っているはずなのに、私の叫びを聴ける者が周囲には誰もいませんでした。
―― エレベーターを降りた時点で、既に私はこのビルの屋上という大きな檻の中に囚われていた ――
その事に気が付くと、更なる絶望感が私に襲い掛かってきたのです。
「あッ……あ、ああぁ……」
圧し掛かる恐怖と絶望に心を押し潰され、私は拘束された身体をブルブル震わせながら、涙を流し続けました。
そんな私の姿に彼は満足そうに頷くと、首輪に鎖を取り付け、引きずる様にして檻の前まで連れて行き、嫌がる私をその中へと押し込みました。
「さぁ、明日からたっぷり躾けてあげるからね。キミは簡単には壊れないでおくれよ」
彼はニッコリと微笑み、再び、あの冷たい目で私を見下ろして、入り口の格子扉をゆっくりと閉じると、大きな南京錠でシッカリと施錠してしまうのでした。
そうして、その日から、彼に雌犬として飼われる日々が始まりました。
高層ビルの最上階にある彼の行きつけだというレストランでヌーベル・キュイジーヌを初めて頂き、その独創性ある創作料理の数々を楽しむと共に、一緒に頂いたブルゴーニュ産のワインで、すっかりほろ酔い気分になってしまった私は、彼の誘いを受け、彼の自宅へとお邪魔しました。
そこは、30階はあろうかという大きなビルの屋上に作られたペントハウスで、地下駐車場から乗った専用エレベーターから降り立つと、目の前には緑豊かな庭園が広がっており、ともすれば、そこが都会の真ん中にある ビルの屋上であるという事を忘れてしまいそうになる空間に、ただビックリする私でした。
そんな私の手を取ると、彼は優しくエスコートして広い邸宅の中を案内してくれたのですが、その中で一つだけ妙に気になることが、私にはありました。
それは、庭先の芝生の上に置かれた真新しい大型犬用の檻でした。
つい今しがた用意されたかのように黒光りするその檻は、まだ使われた気配はなく、格子扉がぽっかりと口を大きく開けて存在感を主張していました。
気になった私は、星空の下、庭先のテーブルで酔い醒ましにと頂いたアールグレーのアイスティーを口にしながら、ちょっと質問してみました。
「大型犬でも飼っていらっしゃるのですか?」
「えぇ、これから飼おうかと思ってまして……」
私の質問に彼はニッコリと微笑むと、先ほどの檻の傍に置いてあった大きなボストンバックを手に取り、 私の前へと持ってきました。
「そうそう、貴女にプレゼントがあるのですよ」
そう言ってバッグのファスナーをゆっり開けると、彼は私の目の前にあるテーブルの上に中身をひとつひとつ並べ始めます。
「……?」
それらは奇妙なモノでした。黒い革で作られた革製品のようでしたが、幅広のベルトがたくさんついた袋状なモノなど、いったい何に使うのか私には皆目見当がつかないモノばかりでした。
「これは……えッ?」
でも、最後にテーブルの上に置かれた大型犬用の首輪を見て、ようやく私は背筋がゾクリっとするような嫌な感覚が走ったのです。
「こ、これはいったい……」
ビックリして立ち上がろうとする私でしたが、その時には既に気が付くのが遅すぎました。
急に足がガクガクと震えだしたかと思うと、身体の力が抜けてしまい、椅子から無様に崩れ落ちて芝生の上へと倒れこんでしまっていたのです。
「え……あへ……ち、力が……」
「おや、アルコールのお陰で、いつもより薬が回るのが早かったようだね」
「な……なんへ……」
口端から涎を垂れ流し、呂律の回らなくなってしまった私は、必死に首を回して、彼を見上げようとしました。
「もちろん、卑しい雌犬のキミを、これから相応しい姿にして飼ってあげるためさ」
必死に見上げた私の視線の先にいた彼は、その顔に先ほどまでと同じ優しい笑みを浮かべていたのだけど、その目は、まるで犬畜生でも見るかのような冷たい光を宿し、私を見下ろしていました。
「さて、雌犬である貴女には、もう服なんて必要ないモノだよね」
そう言うと、彼はおもむろに私の服を脱がし始めたのです。
薬の効果で麻痺し、抵抗できない私の身体からテキパキと服を脱がし始め、下着すらも剥ぎ取っていくと、彼は全裸に剥かれた私の身体に、先ほどの黒革の道具を次々と装着していきました。
「ひゃ……ひゃめ……へ……あがッ、うぐッ… …」
彼にとって、もはや私の言葉など動物の鳴き声程度にしか、思われてないのでしょう。
私の必死の叫びをまるで聴こえてないかのように無視すると、無理やり私の口の中に金属筒を押し込み、付属のベルトで次々と顔を締め付け固定していきます。
「おごぉッ!!」
それが終わると、今度が私の長い手足を各々折り畳み始め、黒革の袋を被せては付属のベルトてギチギチとキツク締め付けていき、しっかり固定してしまいました。
「いひゃ……」
必死に抗おうとする私でしたが、麻痺した身体は自由に動かず、抵抗も空しく私の自由は着実に奪われていきます。
そうして四肢の拘束を終えると、最後には私の首に大型犬用の首輪がキュッと巻きつけられてしまったのです。
「うん、よく似合ってるよ」
黒革の道具で拘束され、まるで動物のように肘と膝で四つん這いで立つ姿に強制的にされてしまった私。
彼はそんな私の姿を見下ろしニッコリと微笑むのですが、私の心は恐怖で押し潰されそうでした。
でも、彼は更にいくつもの南京錠を取り出すと、私の身体に取り付けられた黒革の道具をその南京錠で次々と施錠していくのでした。
――カキンッ――カキンッ……
澄んだ金属音が鳴り響く度に、私の中で完全に自由が奪われることに対する恐怖感が膨れ上がっていきます。
「ひッ、ひひゃーッ!! 」
そして、ついに恐怖で心を真っ黒に塗りつぶされた私は大声で助けを叫びました。
口に噛まされた金属筒の為に人の言葉にすらならない私の叫びが、確かに広い屋上に響き渡ったのです。
でも、ここは大きなビルの屋上。都会の真ん中で、ビルの足元には大勢の人が行き交っているはずなのに、私の叫びを聴ける者が周囲には誰もいませんでした。
―― エレベーターを降りた時点で、既に私はこのビルの屋上という大きな檻の中に囚われていた ――
その事に気が付くと、更なる絶望感が私に襲い掛かってきたのです。
「あッ……あ、ああぁ……」
圧し掛かる恐怖と絶望に心を押し潰され、私は拘束された身体をブルブル震わせながら、涙を流し続けました。
そんな私の姿に彼は満足そうに頷くと、首輪に鎖を取り付け、引きずる様にして檻の前まで連れて行き、嫌がる私をその中へと押し込みました。
「さぁ、明日からたっぷり躾けてあげるからね。キミは簡単には壊れないでおくれよ」
彼はニッコリと微笑み、再び、あの冷たい目で私を見下ろして、入り口の格子扉をゆっくりと閉じると、大きな南京錠でシッカリと施錠してしまうのでした。
そうして、その日から、彼に雌犬として飼われる日々が始まりました。