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ツインテール・バッドエンド2−2

読み切り小説『年下の彼女はツインテール(バッドエンド2―2)』を掲載しました。

前回のお話の続きで、今回の事件は終焉を迎えます。

アクション寄りで、エロ描写はほぼないお話となっています。

ツインテール・バッドエンド2

読み切り小説『年下の彼女はツインテール(バッドエンド2)』を掲載しました。

同名タイトルのバッドエンドなお話で、ノノさんが排泄管理をされてしまって、望まぬ仕事をさせられていくお話となっております。

拘束や凌辱は抑えめな味付けですが、排泄描写がありますので、苦手な方はご注意下さい。

達磨化事件(仮)

久しぶりの試し書きです。

読後の後味が濃い目のをと書いてみたものの、後半はバッドエンド展開にするとR18Gになりそうなので、ひとまずストップした品です。
一応、ハッピーエンドのルートのあるのですが、そちらだと要調整ですね。

折角なので掲載してみましたが、いつものように書き殴りなので誤字脱字はご容赦下さい。



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【1】

 郊外にある住宅地の一角に、その建物は建っていた。
 元は自宅兼診療所として使われていたのだろう、文字の掠れた看板の痕跡から当時の面影がしのばれる。
 今はすべての窓には雨戸で閉め切られて、小さな庭も雑草が鬱蒼と伸び切って荒れ放題だ。正直、人が住んでいるかも怪しい状態だ。
 真夏の太陽が降り注ぐ中、その前に複数の車が急停車すると次々と降り立つ者たちで慌ただしくなる。
 地味なスーツを着込み、一様に厳つい体格だ。緊張した顔持ちで玄関へと向かっていく。
 先人を切った者が呼び鈴ボタンを押してインターフォンで呼び掛ける。反応がないのを確認すると、強引に玄関のドアをこじ開けて内部へと突入していった。

「ようやく、尻尾を掴んだぞッ」

 そこ光景を背後から見守るのは、現場で指揮を執っている猪田 猛男(いのだ たけお)警部だ。野性味が溢れる中年男は険しい表情を浮かべていた。
 山道を愛犬とともに散歩していた地元住人が埋められていた女性の手足を発見したのが一ヶ月前だ。
 四肢は丁寧に梱包されて埋められており、鑑識で調査したところ捜索願が出されている二十歳の女子大生のものと判明した。
 すぐさま捜査本部が立ち上げられ、現場周辺も隈なく捜索された。
 それによって同様に埋められた手足が新たに三組も発見され、すべて行方不明となっている若い女性だとわかった。
 周辺地域を調べれば、この半年の間で若い女性たちが消息をたっていることがあきらかになる。

『連続誘拐バラバラ殺人か!?』

 事件を嗅ぎつけたマスコミがセンセーショナルに書き上げて、事件の深刻度が周囲に認知された。
 その後の分析で、丁寧に処置された切断面の状態から医療関係者を中心に捜査が進められて、容疑者が絞られていった。
 そうして、新たにスポーツインストラクターをしている女性が拐われた際に、偶然にカメラで犯行現場が撮影されており、そこに写っていたのが獅子堂 雪哉(ししどう せつや)という男だった。
 かつては医療使節団として紛争地域をまわる名医だったらしいが、紛争の多い地域でゲリラに拐われてから様子がおかしくなったらしい。
 八ヶ月前に帰国してからは住居を転々と移しており、なかなか消息が掴めずにいた。
 だが、懸命な捜査がみのり、ようやく遠縁の叔父が生前に診療所を開いていたこの家に潜んでいるとの情報を掴んだのだ。

「無事でいてくれよ」

 OLが拐われてから六十時間が経過していた。その場では手を下さず、ある程度は設備の整った場所へと移しているはずで、まだ生存している望みはあった。
 すでに周囲地域には黄色いテープが張られて制服警官によって完全に封鎖されていた。
 残っていた住人たちも誘導されて退去がはじまっており、蟻を一匹も逃さない構えだ。
 険しい表情を浮かべる猪田を、並び立つ人物が横目で見据える。

「また悪人面になってますよ。ネットで犯人より凶悪な顔だと評判になってますよ」
「なにを言う、俺たちは顔で仕事しているわけでは、ないんだぞッ」

 相棒である鈴祓 律花(すずはらい りつか)の指摘に猪田は猛々しく吼える。
 当人としては普通に喋っているらしいが、とにかく声が大きいのだ。
 その迫力に周囲にいた捜査員たちは、肩を震わせて驚くが、律花だけが淡々と変わらぬままだ。
 どんな時も冷静沈着な様子を崩さない鈴祓だが、23歳と若く、刑事として配属されてまだ半年であった。
 学生時代は剣道で全国三位にもなった腕前で、機転も効く彼女を猪田が気に入り、相棒として連れまわしていた。
 野性味溢れ猪田とクールな眼差しの王子さまルックの律花によるバディは、良くも悪くも目立った。
 とある事件で脚光を浴びたふたりは、”氷王子と野獣デカのバディ”とファンサイトまで出来ている。
 今も野次馬たちに混じり、ふたりを望遠レンズで撮影している連中が集まってきていた。

「それよか、最近、連中はストーカーじみてねぇか、昨晩にニンニク餃子とラーメンを喰ったって報告が上がってるしよぉ」
「意外ですね。そういうのは勝手にやってろってタイプかと思っていましたが、繊細なところもあるんですね」
「言ってろッ、お前こそシャワーシーンとか盗撮されねぇように気をつけるよッ」
「はい、気をつけます」

 緊張感があるのか、ないのか掴みどころのないふたりである。
 そんな彼らの元に内部に突入した捜査員からの連絡が入る。

『――容疑者は残念ながら発見できず』

 その報告に周囲から落胆の声が漏れる。だが、報告には続きがあった。

『……その代わり誘拐された被害者たちを……発見しました……』

 その知らせに歓喜の声が湧き上がる。
 だが、その中で猪田の表情は険しいままだ。彼の代わりに律花が無線に応答する。

「今、被害者たちと聴こえたけど、情報外に誘拐されてた女性がいたという事ですか?」

 律花の言葉に喜びの声を上げていた者たちが怪訝な顔を浮かべる。
 だが、返答は彼らが予想したものとは異なるものだった。

『……いや、違う。今まで拐われた女性たちは……全員……生きていたんだ……』

 無線機から聴こえる声は震えていた。
 それに律花が気付いた時には猪田は駆け出していた。慌てて彼の背を追いかけて建物の中へと入っていく。
 内部は古びていたものの、清掃は行き届いていた。狭いながらも受付と待合場所があり、診察室の奥にビニール製のカーテンで覆われた手術台まであった。
 青ざめた顔でうずくまる同僚刑事が指差す方へと向かうと、奥には薬剤用の倉庫があり、棚の裏に隠されていた地下への隠し階段が存在していた。

「随分と古そうだ……」

 大戦中の防空壕を改築したらしい空間に入ると、コポコポと音が聞こえてくる。
 奥に進むと広々とした猪田の背が見えた。周囲には突入した捜査員たちが悲壮な顔をしているのだった。

「……警部、突っ立ってどうしたのですか?」
「――鈴祓ッ!? お前は来なくていいッ」

 猪田の静止も虚しく、追いついてきた律花が彼の背後から覗いてしまっていた。切れ長の目に、現場の様子が映りこむ。

――金属製の棚が組まれて、ひと抱えもある六つ水槽が立体的に並んでいた。

――満たされた薄く青く染まった液体、そこにいるのは観賞用の熱帯魚などではなく、全裸の女性たちだった。

――酸素を送るチューブの繋がった透明なマスクで口元を覆われ、吐き出された空気がコポコポと気泡となって水面に昇っていく。

――水中に髪を漂わせる彼女らの目は虚ろだ。光の失せた昏く濁った瞳がジッとこちらに向けられている。

――その原因は一目瞭然だ。全員が手脚を根本から切落されていたのだ。まるで達磨のように胴体と首だけになった無惨な姿にされていた。

――股間にも何本もチューブは繋がれているのは、排泄物の処理だけではないようだ。秘裂へと挿入されて蠢く淫具が時折、モーターの駆動音を響かせているのだった。

 眼の前にある陰惨な光景に、普段は冷静沈着で表情に乏しい律花もショックを受けていた。
 目を見開き、顔から血の気が引いていた彼女の足元がガクガクと震えだしていた。

「クソッ、もう見るなッ、外にでるぞッ」

 ベテランの捜査員たちですら平静でいられない現場に、経験の浅い新人を連れてきた己の軽率さが腹立たしかった。
 猪田は足元が覚束ない律花を抱えあげると、屋外へと連れ出した。

「……だ、大丈夫です。もぅ、大丈夫ですからッ」

 いわゆるお姫様だっこをされていた律花だが、気持ちも落ち着いてきたのだろう。
 そのまま外へと出ていこうとする猪田に慌てて静止するよう訴えた。

「わ、わかったよ。そう胸をボコスカ叩くなよ」
「い、いえ……取り乱して……すみませんでした」
「本当に大丈夫なのか? なんか顔も赤いし、大声出すなんて普段はないだろう?」

 覗き込んでくる髭面から逃れるように顔を背けて前髪で表情を隠す。だが、確かに露出する耳まで真っ赤に染まっているのだった。

「だ、大丈夫ですからッ、とにかく、早く下ろして下さいッ」

 戸惑う猪田の腕から逃げるように抜け出すと、律花は背を向けて心を落ち着かせる。
 その様子を横目で見ながら、猪田は対応に困っていた。

「わ、悪かったッ、あんな現場に連れていって、配慮が足りなかったッ」

 強面顔で頭を下げる猪田。その暑苦しくも誠意ある姿に、律花はクスリと口元を綻ばせる。

「いえ、私こそ取り乱してすみませんでした」

 再び、彼が顔を上げた時には、彼女は普段通りの姿に戻っているのだった。
 鑑識も到着して現場は騒然としていた。その中に混じり二人の姿をジッと見つめていた制服警官がいた。
 彼は、その場をゆっくりと離れると到着した増援と入れ替わるようにして現場を離れていく。それを不審に思う者はその場にはいなかった。



【2】

 獅子堂が制服警官の姿で紛れ込んでいたのを現場を撮影していたファンサイトのメンバーからの指摘で発覚した。
 帰国時は伸び放題だった髭を剃り落としていたので、大きく印象が異なっていたのだ。
 警察マニアから入手しておいた制服を着込み、物陰に隠れて最初の突入をやり過ごすと、まんまと正面から逃げ遂せてみせたのだ。

「どうやら、軍政権の某国で活動中に反政府ゲリラに捕らわれて、半年ほど囚われて軍医として協力を強要されていたらしいな。軍による大規模な掃討作戦で救出されたが、その後は情緒不安定で帰国されたらしい」
「あの国、大量虐殺とか拷問と悪名高いので有名じゃないッスか、よくそんな国に行きますよね」
「識者である医師の多くは身柄を拘束されてるし、ほぼ内戦状態で医療体制もボロボロらしいからな。NPOも現地から泣きつかれたのだろうよ」

 海外派遣されていた医療団からの聴き込みを終えた捜査員から報告を受けて猪田は確信した。

(こりゃ、ただ囚われていただけじゃねぇなぁ、大胆で用意周到な逃走手段からも、どうみても場馴れしすぎてる……)

 出国前の正義感あふれる青年医師とは印象があまりにも異なり過ぎていると感じたのだ。
 被害者は、全員が自宅で就寝中に拐われていた。戸締まりはされており、防犯カメラもあったのだが、痕跡を残さずに身柄を攫い、周囲の住民にも異変に悟らせていない。
 それらは、獅子堂自身がゲリラに拐われた状況と酷似しているのだった。

(なんらかの理由でゲリラと共感したか、洗脳でもされたのかもな……どっちにしても、やっかいな相手になりそうだな)

 指名手配をかけたものの、未だに捜査の網にはかかっていない。
 ただ潜伏しているだけならまだ良いが、次の犯行に及ぶ可能性を考慮しなければならない。
 本部に残っている捜査メンバーで対策を練るのだが、その上で犯行の傾向を探る必要があった。

「押収した証拠品……カメラのデータの方はどうだった?」
「えぇ、手術台に寝かされた被害者の四肢を切断している光景が淡々と記録されてましたが……正直、正視するのに耐えられませんよ」
「麻酔から覚めて、自分の四肢が無くなったのに気付いた姿に……担当した若い連中は参ってますよ」

 ショックを受けた者に、カウンセリングを受けさせているのと報告に、猪田は頷く。

「被害者の全員が助かったとはいえ……あれじゃなぁ」
「被害者の共通点っといえば、警部はどう感じます?」
「女性、黒髪、二十代前半、スポーツ選手や武道経験者で自信が顔にでてるな……」


「あとは細身で美人ッスかね、鈴祓さんみたいな」
「いや、そこまでは俺は言ってないぞ」
「えーッ、鈴祓さんは美人じゃないんッスか?」

 離れたところで女性警察官らと談笑している律花へと視線を向けたところを、同僚たちにからかわれて強面の刑事も狼狽える。

「いや、まぁ……そうだな、確かに彼女も……美人だな」

 普段の野性味溢れて迫力ある姿から一転して弱る様子に、連日の激務で疲労していたメンバーに活気が戻っていく。
 捜査陣の全員中は、ふたりがお互いを意識しているのは把握済みなのだ。
 気付いていないのは当人らだけで、こうして息抜きでイジラレているのだった。

「あはは、その辺にしておけ。確かに鈴祓のようなボーイッシュな女性が被害者に多いですね。これで分析官の方にプロファイルを頼んでおきます」
「あぁ、頼む」

 年配の刑事も真面目な顔してやり取りをしていたが、すぐに相手が眉をひそめはじめる。

「それより、そろそろ風呂入って、着替えた方がいいみたいですよ」
「そ、そんなに臭うか?」

 ワイシャツを嗅ぎ始める猪田に、若手も追い打ちをかける。

「そうッスね、警部はずっと泊まり込みでしょう? 少しは休んでくださいッスよぉ、俺らも休み辛いッスから」
「あぁ、車で戻るなら、ついでに鈴祓も送っていってやって下さいよ。捜査メンバーで休んでないの二人だけですからね」

 反論も許されず、残ったメンバーに追い出されるようにして帰されると、その車に律花も同乗することになった。
 夜の街道を愛車で走り抜けながら、猪田は落ち着かない様子だ。

「な、なぁ……俺……そんなに臭うか?」

 ハンドルを握りながら、猪田は戸惑いながら助手席の方へと声をかける。
 どうやら先ほどの体臭を指摘されたことがショックだったらしく、換気するよう車の窓を全開にして走っているのだ。

「いきなりですね……そうですね……私は……そんなに気にならないですね」
「そ、そんなにって事は、やっぱり臭うってことだよなぁッ」
「なにを、そんなに狼狽えているんです……はぁ、ならコレを試してみますか?」

 鈴祓がバッグから取り出したのは香水のスプレーだった。

「友人から新製品の試供品で貰ったモノですが、試してみたけどライムの仄かな香りでキツくないですよ」

 言われてみれば、ライムの香りが彼女の方から漂ってくるのに気づく。

「確かに良い香りだな、俺好みだよ」
「では、多めに貰ったので差し上げます。あと、匂いを気にされるならニンニクの料理は控えた方がよいですよ」
「お、おぅ、気をつけるわ」

 お互いの体臭を嗅ぎ合っているのに気付いて、妙に気不味い雰囲気になってしまう。
 そのまま無言のまま律花が借りているマンションまでたどり着く。

「送っていただき助かりました」
「おぅ、今夜はゆっくり休めよ」
「はい、それは警部もお願いしますね」

 お互い勤勉家で、気になることを優先してしまう傾向があるのだ。
 それがわかっているから、お互いに苦笑いを浮かべたまま分かれていった。
 鼻歌交じりにマンションへと入ると、到着したエレベーターに乗り込もうとする。
 だが、開かれた扉の向こうには先客が立っていた。

「あッ、すみません――ッ!?」

 立っていた人物が獅子堂であることに、気を緩めていた彼女は気づくのが遅れた。

「貴様は獅子堂――ぐあぁぁぁッ」

 飛び退る前に腹部に硬いものが押し当てられていた。違法改造されて強化されたスタンガンの電撃に身体が硬直してしまう。
 そのまま崩れ落ちそうになるのを受け止めて、エレベーターの中へと引きずり込まれていた。

「い……猪田……さん……」

 ゆっくりと閉じられる扉の隙間から漏れ聞こえた呟きも、ピッタリと塞がれると聴こえなくなってしまった。



【3】

 想像以上に疲労がたまっていたのだろう。
 自宅マンションに帰宅すると猪田はベッドに倒れ込み、気付けば丸一日が経過していた。
プロフィール

久遠 真人

Author:久遠 真人
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 ここは久遠 真人が主催するSM小説サイト『HEAVEN'S DOOR』の雑記帳的な位置づけのブログです。

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