2ntブログ

雇われ偽貴族(女騎士)

 軽い感じの女騎士の話がチャットででまして、どんな設定ならそんな感じになるかと合間合間で考えてみたりしてました。

・(生まれは別にして)育ちは庶民
・しょうがなく貴族(女騎士)になる。
・偽物&雇われ貴族になるも、元は庶民なので貴族としてはいろいろズレちゃってる。
・知識もなく社会の底辺まで落ちかけるも、知識を得て化けていく。
・剣術とかはダメダメだけど、頭を使ってなんとかしちゃう。
・名誉の死を選ぶよりも、実利ある撤退を選ぶ、

……なんて事をいろいろ考えながらダラダラと書いてみましたが、私だとエロにはつながらないなぁっと(苦笑)。

まぁ、いつものごとく女性1人称の練習ということで(汗)。

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 私の名前はレミィ。本当はレミナントという名なんだけど、レミィと名乗るように去年に亡くなったお母さんにキツク言われてたので、名前を聞かれたらそう言うようにしている。で、ここエッジフォレストという辺境の小さな街に住んでいる16歳の女の子。あ、女の子と言っても、もう結婚している同い年の子たちも多いので、そう言っていいのか微妙なお年頃かな。
 春に結婚したという幼なじみのシャナなんて、子供が出来て今はお腹がポッコリで、来年早々にはお母さんになっちゃうのよねぇ……今の私になんか想像もできない生活だわ。
 何でかというと、家族3人で平凡だけど、それなりに楽しく生きてきた私。だけど、去年、両親が流行の疫病でポックリと天国に召された途端、遠縁の親戚と名乗る叔父さんや叔母さんが、よく分からない説明のあと財産一式もってちゃってから急転回。
 気が付けば、身の回りのモノを詰めた鞄一つで家を追い出されてて、更に取り立て屋さんという人が、ビックリするぐらいの金額のシャクヨウショを手に私の前に立ってた。
 よく分からないけど、そのお金を私が返さないといけないらしくって、その返済期限が明日へと迫ってて、このままだと取り立て屋さんによって奴隷商人さんに売られてしまう身なのでした……うーん、困ったもんだ、ははは。
 この1年、取り立て屋さんの紹介で、寝る間も惜しんで働き続けたけど、結局、払えてたのはリシっていう、どんどん増えていくお金の一部だけ。
 黒髪黒目の多いこの地方では珍しい青い目と金髪と整った顔立ちに両親が生んでくれたお陰で、ショウフとかアイガンヨウに、少しは高く売れそうだと、取り立て屋さんは嬉しそうに話してくれたけど、何でなのか私にはさっぱり……そんなこんなで、この一年で学んだことは、知識は重要だなっという事でした。だって、字もわからないから、書類に書かれている文字も読めないし、文字を書くのも、必要書類に記入するのに必要だからと叔父さんに教えて貰った自分の名前ぐらいだもん。
 文字の読み書きできるだけで、随分、お仕事が選べてお給金も違うのだけど……その心配も、あと数刻で日が昇れば終わりかな。

――トントンッ

 住み込みで働いている料理屋さんの屋根裏部屋……元は物置だった横になったもういっぱいな小さい部屋が今の私だけの空間……その入口がノックされた。
 仕事をさっき終えて横になったばかりだから、取り立て屋さんがお迎えくる夜明けまで、まだ時間があるはずだけど誰だろう? 今夜はお仕事でミスをしてないはずなので、鞭を片手に店主さんが立ってるって事はないはずだけど……と恐る恐るドアをあけると、外套に身を包んだ、身なりのよい初老の男性が立っていた。その人に連れ出されて、私は店の前に待機していた四頭立ての馬車に乗せられた。状況もわからず混乱してした私は、気が付けば、広大な敷地を持ちお屋敷の大広間で、ひとりの老婦人と対面していた。

「……えーと……」

 戸惑う私をよそに老婦人はジロジロと私を観察していたのだど、先ほどの男性が差し出した一枚の書類を受け取る。それが私のシャクヨウショだというのは、サインを見てわかった。

「これが何かは……理解できるぐらいの知恵はあるようね。貴女の事を私が一時的に買い取りました。さて、貴女には2つの選択肢があるのだけど、一つは後ろの扉を抜けて元の生活に戻る事。もう一つは、3年間……事故死した私の娘の身代わりとして生活し、膨大な報酬を得る事……さてー、どちらがお好みかしら?」
「……えーと……全然、状況が飲み込めてないんですけど……」

 貴族らしい威圧感を感じさせる老婦人に恐る恐る口を開くと、彼女は不思議なモノを見るかのような表情を浮かべた。

「別に理解する必要はないわ。貴族のフリを3年間するか、しないか……ただ、それだけ。まぁ、しない場合は、屋敷の門の外にいる取り立て屋と奴隷商人に引き渡すだけだけどね」

 そういって老婦人はニッコリと笑みを浮かべるのだけど、その目はちっとも笑っていなかった。

「その為に必要な知識と技術は、こちらから責任もって叩き込ませてもらうわ。それで、貴女はどちらを選ぶ?」

 最初っから選択させる気などなく、老婦人は考える暇すら与えず答えを求めてくる。でも、彼女の言った言葉の中に、私は強く惹かれる言葉があった。

(……知識をえられる!?)

 考えるよりも先に、私の口は答えを紡ぎ出していた。

 「私は……」

 その日から、私は奴隷一歩手前の貧乏給仕から雇われ偽貴族へとジョブチェンジしたのだった。 

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