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染まりゆく私

【出会い】

 私が彼 赤木 相馬(あがき そうま)さんと初めて出会ったのは、ゴールデンウィーク明けてすぐでした。
 
 その日、大学に入学して初めてできた友人の柴染 栞(ふしぞめ しおり)が、彼女の行きつけである外国人バーに一緒に行ってみないかと誘ってきた。

「詩織も、折角、大学生になったんだし少しは羽を伸ばしなよ。英語の実践経験だとおもってさ」

 そう言って強引に誘ってくるのだけど、そんな彼女の誘いは私は嫌いではなかった。私は苦笑いを浮かべると「弟が心配するから、遅くまでは無理よ」と釘をさしてから、その誘いを受けることにした。
 
 
 
 栞とは、とある授業で隣になり、彼女から話しかけてきたのがキッカケでした。それ以来、性格も何もかもが対照的な私たちだったけど、妙に意気投合して、なにかと一緒にいる事が多くなりました。
 端正な顔立ちに、猫科の動物を連想させるようなアーモンド形で心持ち釣り上がった目、栗色に染めたウルフカットが特徴的な美人……それが私の、栞に対する第一印象だった。
 その事を、のちに親しくなってから伝えると、クスクスと栞が笑い出した。
 
「美人と言ったら、詩織でしょ。艶やかで癖のない腰まである黒髪、どこか清楚さと上品さを感じさせる顔立ちと物腰、それでいて眼鏡越しにみえる知的な瞳をもつ魅力的な貴女に、初めて声を掛けるのには勇気がいったもの」
「でも、栞に声を掛けてもらえて助かったわ。傍に寄ってくるのは男性の方ばかりだったから……」

 事実、大学に入ってから声を掛けてくるのは、男性ばかりで、どうにもガツガツしている彼らが私には苦手だった。
 だけど、栞と友人になり2人で一緒にいる事が多くなると、なぜかそんな男性たちも遠巻きで見ているだけとなり、代わりに女性の友人が他にも何人か出来るようになってきていた。
 
「しかし私たちって同じ”しおり”て名前なのに、何もかも対照的よね」

 栞の言葉に、私も頷いた。
 子供の頃に母親を病気で亡くし、一つ年下の弟の母親代わりをずっとしていたせいか、私はどうにも羽目を外す術を知らなかった。
 良き姉、良き娘、良き母代り、そんな自分を当たり前のように演じてきたけど、どこか栞のような天真爛漫な姿に憧れを抱いてしまう。
 だからか、栞と行動を共にするのは私にとってはとても刺激的な事だった。今までの私なら行かないような場所や遊びの数々を栞は教えてくれて、そこで得られる刺激を、私は楽しんでいた。
 
 
 
 目的地の外国人バーは、繁華街の裏手、狭い路地に入り込んで何度も曲がった所にある古びたビルの地下にあった。
 まるまるワンフロア分を使った広い店内には、夕方の早い時間だというのに既に多くの客で賑わっており、栞の言葉通り、その多くが外国人だった。
 照明の落とされた落ち着いた雰囲気の店内に流れる激しいロック調の音楽に交じり、様々な国の言葉が行き交う。ともすれば、そのが日本だという事を忘れ、自分の方が異邦人なのではっとすら思ってしまう。そんな今まで経験した事もない空間の雰囲気に、私は少し興奮していた。
 
「ちょっと飲み物を取ってくるから待っててね」

 そんな私の様子に笑みを浮かべると、栞はそう言って人を掻き分け奥へと消えて行った。
 その途端、3人の白人が私の傍に歩み寄ると、親しげに話し掛けてきた。得意な英語のハズだったが、彼らのは少しクセがあって聴き取りづらかった。そんな戸惑っている私にお構いなく、彼らは、何気ない動作で私の肩を抱き密接して親しげに話しかけてくる。その積極さに、私はどう対応していいかわからず、しどろもどろになってしまっていた。
 そんな時に、サッと間に入り、私を助け出してくれたのが赤木さんだった。歳は20代後半だろう、メガネをかけ理知な顔立ちに上等そうなスーツに身を包んだ姿で、流暢なブリティッシュ・イングリッシュで話すと、彼らを論理的に諭し、すごすごと退散させてしまった。
 
「大丈夫でしたか?」
「あ、はいッ。助かりましたッ」

 こちらに振り返りニッコリと白い歯を見せて微笑む彼に、一瞬、ボーっとして見惚れてしまっていた。ハッと気づき慌てて、御礼の言葉を言うのだけど、恥ずかしさに顔が熱くなってしまう。
 耳まで真っ赤になってしまっているであろう私に、彼は気にする様子もなく。まずは落ち着きましょうっと近くの席へとエスコートしてくれた。
 
「お1人で来たのですか?」
「あッ、いえ、友人と2人で……飲み物を取りにいったハズなのですけど……」

 まだ引かぬ赤面した顔を隠すように俯き、私は彼の質問に答えた。
 
「それなら、御迷惑でなければ、友人が戻ってくるまの間で結構なので話し相手になって頂けませんか?」
「は、はい。喜んでッ」
 
 まるで異国の地で独りぼっちになってしまったかのような心細さを感じ始めていた私は、彼の提案にすぐさま快諾していた。
 同年代の男性にない落ち着いた物腰、上品な言葉使い、そして私を一人前のレディとして扱ってくれる紳士的な対応は、今まで私の周囲にはいなかったタイプの男性だった。
 それでいて知識が豊富で、話の話題にも事欠かない。そんな彼との会話に次第に惹きこまれていった。
 
「結構な時間を経過したのに、帰ってきませんね」

 彼の言葉で、ハッと我に返って慌てて時計を確認すると、確かに飲み物を取りに行ったわりには長すぎる時間を経過していた。
 でも、好奇心旺盛で性的にも開放的な栞の事だから、いつもの如くナンパされてそれを楽しんでいるのかも知れず、私はあまり心配しなかった。
 
「詩織さんは、このあと少しだけお時間はありますか?」
「……? ……はい、少しなら」
「でしたら、折角、バーに来たのに、まだお互いお酒を飲んでないじゃないですか。良かったらですけど……別の場所で一杯だけ飲みませんか?」

 それまで大人びて整然としていた彼が、急に照れた様子で提案してきた。
 そんな彼の思わぬ姿に親近感を感じ、私はクスリと笑うと「はい、よろこんでッ」と自然に答えていた。
 
 
 
 そうして彼に案内されたのは、高級ホテルの上階にあるバーラウンジだった。
 窓から見える夜景が、光り輝く宝石を散りばめたようで幻想的で、静かに落ち着いた雰囲気の店内には、ピアノの音色が流れている。
 そんな先ほどの外国人バーとは異なる大人な空間に、大学生になりたての私は、すぐさまその雰囲気にウットリとしていた。
 そんな私を、彼は優しくカウンターまでエスコートして座らせると、黙って隣に座った。そして、バーテンダーに目と指だけで合図をすると、私の前にピンク色のカクテルが差し出された。そして、すぐに彼の前にも、炭酸ガスの泡が立ち上る透明な飲み物が置かれた。
 
「あ、すみません。好みとか聞かないで、勝手にオーダーしてしまったね」
「あ、いいえ……お酒とか、全然分からないので……赤木さんのおススメで、大丈夫です。それより、よくココには、いらっしてるんですか?」

 店内での迷いのない動きや、バーテンダーとのやり取りから、何度も来ているのだろうと思い話題を振ってみた。だが、帰って来た返答は、少し意外なものだった。
 
「うーん、ココに住んでるからね」
「――えッ?」
「ここのホテルに部屋を借り切って住んでるんだ」

 驚く私を面白そうに見つつ、彼は悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
 
「家事全般が僕はダメでねぇ。ここなら、全てやってくれるしね」

 そう言ってウィンクをする彼に、私はただビックリしていた。
 
「まぁ、そんな事よりも乾杯しよう」

 そういって手元のグラスを手にした。私も慌ててグラスを持つと、カチンッと澄んだ音を鳴らしてグラスを合わせた。
 緊張しながらゆっくりとカクテルクラスを傾け、中のピンク色の液体を少し口にする。芳醇なフルーティな香りが鼻腔を抜けると、ほんのり甘くそれでいてスッキリした味わいが口の中に広がった。
 
「……美味しい……」
「それは、よかった」

 私の言葉に、彼はホッとしたように表情を緩めると、自らもカクテルを口にした。
 そんな彼の細やかな心遣いに、私は表情を和らげた。
 そして、再び手にしたカクテルグラスを傾けると、ピンク色の液体をしっかり味わうように、ゆっくりと飲んでいく。
 そうして、彼と飲んでいると不思議な感覚が芽生えてきた。ふわふわっとした気分になり、まるで、幸福感が心の奥から溢れ出てくるような不思議な感じだった。
 
(これがアルコールの酔いかしら?)
 
 正直、アルコールは大学に入学する前は、料理で使うか、祝いの席で嗜むぐらうで、ほとんど免疫が無かった。栞に連れ回されるようになってから、少しは飲む様になったのだが、酔いが回る前に気持ち悪くなる方が先なのが常だった。
 カウンターで隣り合う為、彼との距離は近く。優しげに私に話しかけてくる彼の顔を間近で見つめ、低くそれでいてよく通る声を耳にしているうちに、徐々に脳が蕩けるほどウットリとしてくる。

(もしかして……これが恋……なのかしら……)

 今まで、恋らしい恋をしたことがなかった。だから、この急速に芽生えた感覚に戸惑い感じた。だけど、それと共に、やっと人並みに感じれる事を嬉しく想い、その感覚を心地よくも感じていた。
 そうして、いつの間にか気が付けば、私は首を傾け、彼の肩に頭を載せていた。
 そんな私に、彼もやさしく肩に手を載せ、そして、いつしか腰に手を廻していた。
 
「キミの事を好きになったみたいだ」

 そっと優しく耳元で囁かれると、それだけで電撃が背筋を走り抜けるような感覚にジンジンした。
 
「あ……あぁ……」
 
 そうして、彼は私の耳元に甘い言葉を囁き続けた。その度に、得も知れない高揚感が湧き起り、身体からはスーッと抜けていき、ウットリと彼に身体を預けて行く。
 そして、バーラウンジを出る頃には、彼に支えられてなければ、真っ直ぐに歩けないほどの状態になっていた。


 2人して無人のエレベーターに乗ると、すぐに唇が重ねられた。
 
「あン……はぁッ……うぅン……」

 私の唇の合間に、彼のなめらかな舌が入り込み、口腔を舐められ、舌を吸われた。それだけで切なくなり、私は甘い吐息を吐いていた。
 更に、胸をそっと揉まれると、もうダメだった。足がガクガクとなり立っていられず、彼の首に両腕をまわし、必死にしがみ付かなければならなくなった。
 そうして、彼の愛撫を受けていると、次第に恥ずかしいぐらい下着が濡れていくのがわかった。
 
「ふふ、感ずやすいんだね」
「あン……こんなはずじゃ……恥ずかしい……」
「切なげに見上げるキミは、凄く可愛いよ」
「あッ、あぁぁぁ……んッ、うむッ……」

 そういって、彼は甘い言葉を私に囁くと、再び私の唇を奪った。
 だけど、今度は私からも舌を絡ませていった。ヌチャヌチャと舌が絡み合い、自分でも驚くほど淫らな音を立てながら彼の舌を吸った。
 それだけで、気持ちは高ぶり、脊髄を電流が流れたかのようにビクッビクッと身体が痙攣したように震えた。
 
「ふふ、キスだけで軽くイッたみたいだね」
「あ、あ、あぁぁ……あふぅ……」

 頭に白い靄がかかり、ガックリと膝から崩れそうになるのを、彼がガッシリと受け止め、膝の下に手をやると私を抱き上げた。そんな彼の厚い胸板に、私は顔を寄せるとその感触に酔いしれていた。
 そこからは、もう記憶があやふやになっていった。
 
 
 次に気が付いた時は、大きなサイズのベットの上で全裸で横たわっていた。
 照明を落とし、淡い間接照明の光の中、彼が服を脱いでいく。スーツの上からでは分からなかった細く引締まった無駄のない肉体が露わになる。まじまじと見る大人の男性の裸だけど、不思議を恥ずかしく感じず、まるでギリシャ彫刻を見るかのように、美しいとすら感じていた。
 そんな彼の股間部では、男根が隆々とそびえ立ち、その存在感をだしていた。それを見た途端、目が釘付けになり、知らず知らずの内に生唾を呑み込んでいた。
 私の視線に気が付いたのだろう、こちらを見ると彼にニッコリと微笑んだ。そして、ゆっくりとベットに上がると、私に寄り添うように横になった。
 
「――あンッ」

 私の下に手を差し入れ肩を掴むと、力強くグイッと私を引き寄せた。そして、私の顎を掴みクイッと引き上げると、唇を重ね合わせてくる。
 
「うン……ふン……はン……」

 濃厚なキスを交わながら、顎を掴んでいた彼の手が、私の乳房を掴んだ。
 
「はぅン……はぁ……うン……」

 ゆっくりとその感触を楽しみかのように、彼の手が私の乳房を揉み立てる。そうしながら、彼の膝が私の脚の間を割り裂き、太ももで秘部を刺激しだした。
 
「はぅッ……あッ……ダメッ……いや……」

 彼の脚が動くたびにヌチャヌチャと淫らな水音が鳴る。その音に、私は恥ずかしくなりイヤイヤと小さく首を振った。

「こんなに感じてくれて、嬉しいよ、詩織」
「は……恥ずかしい……」

 恥ずかしさのあまり、彼の胸に顔を埋める。そんな私の背中を彼はそっと抱きしめてくれた。
 
「恥ずかしがらなくてもイイよ。そんな詩織を見れて、僕は嬉しいんだ」
「でも……私……」

 そう言うと彼は優しく髪を撫でながら、ソッと耳元で囁いた。
 
「入れてもいいかい?」

 それを拒否する気はなかった。身体は切なく燃え上がり、彼を求めて止まなかったし、既にそれを制御できるほどの余裕も私にはなかった。

「……はい……でも、私……初めてなんです」
 
 ただ、淫らな女性だと思われる事が怖かった。こんなに淫らに乱れる自分が今でも信じられない。だけど、彼になら、初めてを捧げてもよい、そんな気分には既になっていた。
 
「うん、わかった。詩織の初めての男性になれるなんて、僕は幸せだよ」
「……あンッ」

 そっと頬に手を添え、チュッと額にキスをすると、彼が私の足元へと移動した。
 
「脚を広げてくれるかい?」

 優しく、でもどこか拒否を許さない響きの彼の声に、私は羞恥で顔を真っ赤に染めながら、おずおずと脚を広げていく。恥ずかしさに、両手で股間を押さえて隠してしまう。
 そんな私の脚の合間に、彼は身体を差し入れてきた。そして、私の手を取ると、自らの男根へと導いた。
 
「――あッ!?」
「わかるかい? 詩織の姿に興奮、僕のがこんなになってるんだよ」

 私の指先に触れたそれは、熱した鉄のように熱く硬く、指を絡めるとビクビクと反応する。
 
「あ……あぁぁ……」
「さぁ、自分で導いてごらん」

 そう言って、ズイッと私の股間への距離を縮めると、私に自ら男根を女性自身へと導くように促した。
 初めて触る男性性器は太く大きかった。その猛々しい存在感を放つ存在が、これから、私の中に挿入される。その事に、僅かな恐怖を感じると共に、ひどく興奮している私がいた。
 知らぬ間に息を荒らげ、右手で彼のソレを握り、左手の指で、私の女性性器を押し広げる。彼の腰が一歩前へ動き、ピタッと亀頭部分が押し当てられた。だが、それ以上は、彼が動く気配は無かった。
 
「な、なんで……」
「入れて欲しいかい?」

 戸惑う私に、彼は意地悪そうな笑みを浮かべ尋ねてくる。そして、亀頭を軽く動かし粘膜を軽く刺激する。ヌチャヌチャと淫らな音を立て、粘膜と亀頭の合間、透明な糸が紡がれる。
 
「は、はいッ」
「じゃぁ、こうオネダリしてごらん?」

 そう言って、私の耳元に口を近づけると、オネダリの言葉を囁いた。
 
「――えッ!?」
「どうしたの? 言えないかい?」
「だって……あンッ!」

 言いよどむと彼が粘膜への焦らしを再び行う。それに対し、無意識に彼のモノを求め腰が動いてしまっていた。
 
「あ……あぁ……ど、どうか……」
「どうか……それから?」

 でも、恥ずかしさに、私はそれ以上言えなかった。羞恥に顔を真っ赤に染め、涙目で彼を見つめる。
 そんな私を、彼はジッと見つめ、ただ待っていた。
 ジッと見つめ合う私と彼。そんな彼の視線に背を押されるように、私はゆっくりと言葉を紡ぎ出す。  

「どうか……その逞しいチ×ポで……詩織のオ、オ×ンコに……入れて……女にして下さい……」
「うん、よく言えたね」

 涙をポロポロながしながら、ようやく言い終えた私に、彼はニッコリと微笑むと、やさしく頬を撫でてくれた。
 それが、羞恥に耐えながら言い終えた私には、無性に嬉しく、同時に不思議な達成感を感じせた。

 そして、ついに彼のソレが、ゆっくりと私の中に挿入されていくのだった。


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